眠りに落ちる前に

一人の異性のことを思い出してきゅうぅっとなって眠り損ねた。ちゃんと鍵をかけてしまっといた筈の引き出しが、ふと気づいたらかたんと音を立てて落っこちてきた。おかげで中身が全部散らかっちゃった。そんな気分。ちゃんと忘れてたのに。忘れよう忘れよう思い出さない思い出さない、って念仏みたいに唱えて自分に暗示をかけてたのに。切欠なんて、ない。ただ、すとんと。かたんと。彼の言動とか姿勢とか一つ一つが私の理想に反してて、でもああいう土足で踏み込まれてる感って初めてでそれにやられちゃってたんだなーと思ったら、なんか悲しくなった。土足で踏み込まれて惚れちゃうとか、ほんとばっかみたい。意外性と予想外な展開に弱い私は、結局本当は予想通りの結末に終わったことにぐちゃぐちゃに傷ついてでもやっぱりほんのちょっと安堵してるんじゃん。でも、もう一つ安堵したことには、既に思い出の彼方にいっちゃってるんだなーってことだね。今回は損失は大きかったけど、意外と早かった。いや、速かった。よかった。よかった。