秋の憂鬱

子どもの頃、秋はすこしだけ憂鬱だった。
正確にはその始まりが、すこぅしだけ。
大キライな運動会があるし、
何より長くて楽しい(はずの)夏休みが
終わってしまった感が強く尾を引くから。


でもそんな「どことなく憂鬱」感も、
10月の到来と共に薄れて
ようやく純粋に秋を楽しめるようになる。


だって、もともと秋は好きなのだ。
サンマや梨・ブドウ、かぼちゃに栗ゴハン、食べ物は美味しいし、
夜は過ごしやすく長いし、
虫は心地よく鳴いて、読書も推奨される。
芸術発表会や合唱コンクールは楽しみだったし、
それからお祭りがあった。
今となってはいろいろなつかしすぎるけど、
大人になってからは一度も行ってない。
その時期になると毎年忙しいのもあるけど、
本音は怖い。…その話はまた今度。


とにかく、秋は憂鬱っぽく始まるわりに、
結構好きだったんだ、と、あとから気付く季節。


とはいえ。
大人になってからは、もっと自由に季節の行事を選べるようになっていて。
秋は最初から好きな季節に変わっていた。
ハズだった。
なのに、今年はどうしちゃったというんだろう。


いやいや、今年は始まりからしておかしかったんだ。
つれなく他人行儀な冬将軍。
鬱を連れてこない春一番
夏は…まあ暑さと湿気にやられちゃって
マトモに考えることすらままならないのは、いつものこと。
そして、この、秋。


まるで、メンタル面だけ感情の部分だけ、
小学生の頃に逆戻りしてしまったみたいだ。
走るのと球技にはまったくもって自信も関心もないのに
何の因果かリレーの選手に選ばれてしまったみたいな
そんな理不尽な戦々恐々とした気分だ。


何を恐れているんだろう、わたしは。
いやなこになっているのは、多分防衛本能。
何に傷つけられると危惧しているんだろう、わたしは。
自然と出てしまう反応を、
無暗に出したり押さえ込んだりしてしまう前に、
もう一度自分の中にある変化やぐつぐつの感情と、
きっちりと片を付けなければいけないかもしれない。
そうあるべき季節なのかもしれない。