記憶と睡眠のあいだで

寝苦しくて夢見の悪い不満足な睡眠の透き間を埋めるように、最近よく昔のことを思い出す。


制服のまま当時付き合っていた人の部屋で
無為に過ごしていた夕暮れの窓枠 とか…
うさぎ模様の浴衣を着て手をつないで
下駄をカラコロいわせていた夜道 とか…
柵を乗り越えて降り立った川縁から
あの時いちばん好きだった人と見送った笹舟 とか…
人込みに押され歩き疲れて不機嫌になりながら
手を引かれていた花火大会の帰り道 とか…
冗談のようなギャングムービーさながらのアメ車の助手席で
お互い解りあえないまま延々と話し続けた時間 とか…
いきなり突然、が得意だった人がさわやかな朝に持ち込んだ
宵闇の甘く気だるい空気 とか…
日の暮れかかった下校時間待ち伏せして
生まれて初めて手渡したチョコレート とか…
いっぽんのビニール傘の下から一緒に見た
雨の中に吸い込まれそうな夜空 とか…
水族館からの帰り道に地下鉄のホームで
ぎこちない会話の中で褒められたペディキュアの柄 とか…
眠たげに横になったままの態勢の人に
ふいに腕を引かれてハッとする瞬間の重み とか……




フラッシュバックしているわけじゃない。
数え始めればきりがない。
なのに、ふとたゆたうと、
思い出を紐解いて記憶を辿っている。
脈絡も関連もなく。
強い郷愁や恋慕に襲われることもなく、
かと言って口許が思わず緩むほどでもない。
ただ、映画の場面が続いて切り替わるように淡々と。坦々と。
良い思い出ばかりじゃないし、
すごく好きだった人ばかりでもない。
でも、なんとなく。
これが今のわたしを形作っているんだなぁ… とは思う。


それにしても本気で夜ひとりで眠れない。
眠れないついでにiPodの中のPV鑑賞&熱唱してたら、
いよいよ眠れなくなった。
dream well ドリ○ル〜 かな。
…あれってまだ売ってんの?
明け方になって眠ってもすぐ起きなきゃなんないし、
代わりに昼間に眠いからホント困りものなんだよねぇ。
ちなまに今朝は、
夢だってわかってる夢の中で話してた人からの
イムリーなメールの着音で目が醒めました。