マーチにマーチ

晴天の続かぬ弥生の到来です。
一足早く吹き抜けた春一番はあまり心を揺さぶらず、
わたしは懐疑的になってしまった。
 
 
冬将軍の猛攻と春一番とのせめぎ合いで、
だんだんと1平方メートルずつ季節が入れ替わっていく。
空気の粒が湿度を増して、花の蕾も色みを増して、
ありんこは隊列を組んで勤勉な姿を現し、
頬をなでる風は切り付けるナイフの鋭さを失って、
朝の光は日々の目覚めをどんどん速めていく。
 
 
コートの丈は短く裾は軽やかになびくようになり、
その先取り感や空気を読もうとする人を
まるでひらひらとからかうように、
春は勢いを増したり止めたり雨を降らせたりする。
「季節の変わり目」に風邪を流行らせようとするかのように。
 
 
 
 
今週末と今月末、実家に帰ります。
母の旅行欲解消と竹馬の友の結婚式のため、
そして祖父母のダイヤモンド婚のために。
曾孫も連れてく祝いの旅は心踊るにちがいない。
 
 
こないだItskと会って夜通し話した中にも、
痛烈なさけびみたいにファミリーイシューはあった。
われわれ、そういう年代ってことでまとめがちだけども、
たぶんホントはちがう。
これはアドアとかアフェクションの話で、
さらに言えば、
おととい勢いよく読了した『アルケミスト』でいうところの、
“人生の宝物”探しとの相容れない葛藤のことだと思う。
わかりあえる友人をもつことは幸せだけど、
自分自身のイシューはいつも
自分しか解決できないということは、
みんな平等に非常に孤独だと思った。
(いまさら相手のいる孤独といない孤独じゃなさとかの議論はしないけど)