ちっぽけな違和感

ちっぽけな違和感。


大人のように振る舞う自分。
(年齢的には充分大人と言ってもはばからないのだけれど。)
笑いたくもないのに相手の話にあわせて
「わかります」といった表情を張り付けて頷くのは
まだ自意識があるからマシ。

お金を稼ぐとか高級な被服を選ぶとかが
一等ましな価値観として語られるソサイエティがあって、
そのソサイエティに是が非でも参加したいというふりをして
誘い入れてくれる人待ち顔を作って話を聞いていること。


欲しくもないものをまるで心から欲しいようなふりして手を伸ばす。
だれかより優れているような虚勢を張ること。
うまく切り抜けた時にホッと安堵すること。
(そこにあるべき感情は安堵では決してない。)
食い違いを代替品によって埋めていくこと。
(ちがうものはちがうのだ。別のものでは替えられない。替えた瞬間に根底から別物になってしまう。)
わざと、意地の悪いメールを返すこと。



感情の動きから生まれる違和感はきっと、
すべてどこか一部に嘘の感情が含まれているからだね。
他人に対する嘘というより、
自分の真意に対する嘘。
ちっちゃな違和感による気付きは、
嘘を積み重ねることへの警告。
積み重ねることでホントの部分が見えなくなってしまいそうで。
実はそんなこと、ないのかもしれないけど。
嘘にはたくさんの種類があるけど、
「なるたけ、つかないほうがいいよ」
と、深い声であのひとは言った。