にげない、よけない、かくれない

大切な人の十回目の誕生日を迎えて。
そんなに月日が経ってしまったことに愕然とする、ような、当然のような。




秋のくもりときどき雨降りの休日の街をひとり歩き回ってみる。
最近うまく人と過ごせない。
から約束もしない。
殻に閉じこもっちゃいけないんだけどな。
人前で言っちゃいけないと言われたけど
(相変わらず言ってるけど)
ひとりでお茶するのもウィンドーショッピングするのも、
ゴハンするのなんてもっての他で、
実はひとりで出歩いたりずっとひとりでいるのって、ものすっごい苦手。
なんだけど、やってみた。トライトライトライ!だ。


…なんていうのかな、
ひとりだと必要以上に孤立モードに入っちゃって、
他人をまったく寄せ付けないようにバリアを張ってしまうから、
みずから余計に苦手なんだろうと思って、
できるだけ、ひとりフレンドリーモードを心掛けてみた。
移動時間じゃないところ(店の立ち並ぶ通りとか)では
なるたけイヤホンを抜いて歩みを弛めて、
…この人声かけられますよーって感じ?
ってなんか声かけてほしいみたいでちがうけど、
もっと雑踏やいろいろなものに
注意深く着目するというか心を開くというか。


もともと特にこれからの季節以降は、
イヤホン・コート・ポケット・視線外しで、
できるだけ外界から遮断/謝絶してきたから、
いきなり外界にフレンドリーになろう、なんて
難しいものがあるんだけどさ。
遅ればせながら、
ひとりで楽しめる→世界と友だちになる
の工程を始めてみようかと。


ちなみにひとつ学んだよ。
渋谷から家まで歩いても意外に遠くない。
…昨日はひとりでお茶する気力
(ひとりでグループ環境に馴染むっていう状況が苦手)
もなくて、ずっと結局あちこち寄って歩いてたんだけど、
その間にいろんなことをちゃんと考えられた。
今後どうしたいかとか、
ゆくゆくどうしたかったかとか。
そのために有効な手段として、
なにを選ぶべきかなにから手を付けるべきか。
そんなことを漠然と猛然と考えていたら、
気がついたらおうちに着いてしまっていた。
まぁ家に着くまで気付かなかったってのはうそだけどね。
歩くのは非常に良い、だなんて老人みたいだけど、
頭が軽くなる。比例して脚は痛くなる。けど。


最近急にどんどん寒くなってくからか、
とてつもなく心許無い。逃げたい。
さみしいというより拠無くて、なのに動けない。
ただすべてが指の間をすり抜け落ちてくのを見てるだけ。
このままじゃやばい、と思っても
どこか100%乗っかれない。乗り切れない。
せめて人前・横にいる時だけは、
こんなうつうつな自分でいないように
したいけど。してるつもりだけど。


電車に乗ると薄い素材で包まれた腿の部分が
寒暖の差に堪えかねてじんましんを発疹しそう。
この季節が待遠しくて待遠しくて、
切望していたからこそ、こんなにギュッとしているのかも。
うそだとわかってる可能性を抱きつぶすくらいの勢いで、
おっきなこの身をできるだけ小さくちいさく縮こませる。