ポツポツする

十二月だ。師走だ。
やっと、というべきか。
ようやく、というべきか。


いちばん最後の、という感じはすき。
年の瀬、というぎりぎりなのに、
なんだか気の抜けた今さら感がいい。
もう今さらジタバタしたって、ねぇ、みたいな。


年を取るのは、というより、
みんなに祝ってもらいにくい誕生日は、きらい。
なんか比べようがないのに較べちゃって損した気になるから。
まぁ、しずかにつつがなく、年を重ねられる、
という意味ではいいかも知れない。
それに、わたしを思い出してくれる人たちを量れる、というのもちょっといい。
こんなのはせこくてばからしいかも知れないけど。
絶対的な淋しい量がプライドより高いから、
そんなことが思えちゃうし言えちゃうんだ、きっと。


あとは雨じゃなくて雪がふればいいと思う。
ムダに。ドカドカ、じゃんじゃん。
そんで雨みたいに次の日には、さっぱりすっきり消えてしまえばいい。
そういうのが、三日置きとかで繰り返せばいい。
きりりとした琥珀に近い月も見たいし、
ちかちか降りそうな星も見たいし、
しんしんと音もない音を立てて降り積もる雪も見たいし、
青空に凍えそうに立ち聳える裸の街路樹も見たい。


毎年思うことだけど、
さみしかとか恋煩いとか、苦しさとか忙しさとか、
なんだか煩雑なものにまみれずに一度くらい過ごしてみたい。
でもなぜか、塗れればまみれるほど十二月なんだよね。
ドロドロに土が混じったような雪がいちばん人間らしいというか。
それでも足跡一つない、まだ結晶一粒ひとつぶの角が残ってるような、
真っ白で清廉な雪景色に憬れてしまったり、するわけです。


暗黒の十一月を終え。
いまだから思うし、いまだから言えること。