HOW'S MY HAIR?

気がつけば、すでに十一月で、八百万の神様たちは
とっくにそれぞれの持ち場に戻っている。
急に寒くなったりするから、
体調を崩す人や街の上着率があがっていて、
ほんのちょっと前まで窓の外には
夏があってノースリーブだったこととか夢みたいだ。


それはいつも、真冬ではなく、
この季節のほうが強く思うこと。
この「夢だったような気がする」のと同じように、
たとえばいま二十代だったことも、数十年後には
夢のようにおぼつかなく、キラキラとした手触りだけのもの
として思い出すようになるのだろうか。
…たぶん、なるのだろうね。


そしてそれを想うと不思議な感じがする。
だって今の自分は、
自分を決してほんとうに俯瞰や客観で見ることなんてできないのに、
未来の自分が思い出すいまの自分は、
まわりの風景の中に「在る」自分だろうと思うから。
記憶はつねに捏造されるということかね。
見たこともない自分を思い出す。
こうあればいい、と思っていた自分を少し混ぜて。
理想の自分を思い浮かべるみたいに、
もう少しマシだったはず、の過去の自分を思い出す。
不思議な気がするし、同時に当然という気もする。


閑話休題
いわゆる自叙伝と呼ばれる系統の小説が
わりとわたしは好きなようで
(世の中にありふれてるだけかもしれないけど)、
それが幸であれ不幸であれ、
著者自身の少年〜青春期について
ノベライズした作品が多く印象に残っている。
最近もそんなジャンルを一冊読了。


円と円が重なる部分は、
より“好き度”が高い作品だと思うけど、
殊にテーマは「暗」と「青春」だと思った。
そこに自伝的リアリティが重なると最強。