さわやかに近づく冬の足音

明日は15年来の友だちのお誕生日。年に数回しか会わなくなっても、彼女のことをとても誰より(当時の恋人より)好きだった頃のことを強く思い出す。そんな振り返る意味でも貴重な日。今年はたまたま土曜日で、前々から決まっていた旅行へと繰り出す予定だけど、多分心のどこかで、チリチリと小さな鈴が鳴るみたいに、その面影を思うのだろう。あの頃は予想もしていなかったような人生の出来事が、当然彼女にも私も起きていて、それでも現在が不幸ではないことは、きっと少なくとも太陽の方を見続ける努力だけは怠らなかった結果だと思いたい。太陽の方を、健全な方を。悪よりは善を、冷よりは温を、暗よりは明を、下よりは上を、もちろん両極端な事柄は、どちらも必要だけど、どうしてもどちらかを選ばなければいけなくなった時に、胸を張れる方を選ぶ。そんな風に生きていくことを、あの頃、あの場所で学んだのだと思う。あれだけ夢中になれることには、今は出会えていない。なぜあんなに楽しくて面白くて、日々それだけに夢中でいられたのか、それはきっともう答えは出ている。だけど、それが一番大切なことじゃない。それさえももう知っている。念願の母となった彼女と、もう一度深く、それこそあの頃みたく語り合う日はきっとまた来るだろう。それがまた15年くらい先のことだとしても。その日が心から楽しみだ。

閑話休題
冬将軍の足音がだんだん近づいてきているよう。北海道では雪がチラついているとか。今年の訪れ方は、私好みだといいなあ。ここ数年なんだか気が合わない感じだったから。冬将軍と息が合うと、ちょっと良い冬になるんだよね。ちゃんと寒さに包まれるというか、だからこそ余計にぬくもりのありがたさを知るというか。今年は雪が降るといいな。いや、歩きにくいし電車止まるし、都会では大変なのだけどね。それでも銀白の世界で、音も立てないかのように降る雪を、時が止まったような空間の中で見つめたいのだよね。それがたまらなくどうしようもなく好きなのだよね。…ちょっと気が早いか。